イベントレポート:東北大、大関先生のところで量子コンピュータのセミナーを開催しました

2017年11月20日

この度、東北大学大学院情報科学研究科 大関真之准教授にお声がけいただき、東北大学の皆様を対象としたセミナーを開催いたしました。

巷で盛り上がりを見せている量子コンピュータですが、実際に触ったこと、使ったことのある人はまだまだ限られています。今回は、D-Wave Systems の量子アニーリングマシンを使って、細かい環境設定から実際のプログラミングやデモまで、当社エンジニアが実演してきました。

セミナー開催に至った経緯

まずは大関先生についてご紹介します。東北大学大学院情報科学研究科にて、統計力学を柱にして量子アニーリングと機械学習の両者に関連する研究をなさっています(参考)。JSTの大学発新産業創出プログラム「START」に採択 されたことを受けてD-Waveマシンを利用した研究開発を開始、株式会社デンソーとの共同研究を通して産学連携を進めるなど、精力的に活動されています。また、「先生、それって『量子』の仕業ですか?」「量子コンピュータが人工知能を加速する」 のような一般向け書籍を刊行し、量子コンピュータの啓蒙活動も行ってらっしゃいます。

学生時代は、量子アニーリングの提唱者である西森秀稔教授の研究室で学ばれており、当社とのご縁はなんとここまでさかのぼります!

実は、当社の量子コンピュータ事業の中核を担っているエンジニアも西森教授の研究室出身で、大関准教授とは研究室の先輩後輩の間柄だったのです。今回は、このようなつながりからお声がけいただき、セミナー開催に至りました。

セミナー内容

事前には30名程の参加と聞いていたのですが、当初の予定を大幅に超えて50名程お越しいただき、立ち見が出るほどの盛況ぶり!

セミナーは大きく以下のような構成で行いました。

  • 量子アニーリングの基礎
  • 開発者向けサイトを利用したトレーニング
  • C/Python 向け SDKによるプログラミング実習
  • 応用事例の紹介・デモ

一方的に講師が話す形ではなく、実際にD-Waveマシンを使う時間を多くとり、参加者の皆様には量子コンピュータの魅力やすごさを感じていただきました。

実習においては、当社側で様々な練習問題を用意し、実際にC/Pythonで実装していただきました。

D-Waveマシンのアカウントを持っている方が練習問題にチャレンジ。見学に訪れた周りの方々も興味ありすぎて、相当前のめり気味にスクリーンを見ています。ちなみに、東北大はD-Waveマシンのアカウント数、日本一らしいです!我々も負けてられません。

演習の後には、「ポートフォリオ最適化」や「四色問題」などを例にとり、当社エンジニアによるデモを行いました。

計算速度が速すぎて、いまいち何をやっているかわからない、という声も…。それくらい圧倒的なパフォーマンスを有しているのがD-Waveマシンであり、それを気軽に利用できるのが良いところです。

予定していた2時間があっという間に過ぎ去り、セミナーは終了。その後は、大関先生の研究室の方々と懇親会へ。(様々な議論と学生さんたちの熱気に押されて、楽しんでたら写真取り忘れました、すいません)

総括

量子コンピュータに対する関心の高さを実感した一日でした!

事前告知はあまり大々的にされなかったそうですが、予想を大幅に上回る参加人数で、また、学部2年生から他研究室の教授まで、様々なバックグラウンドの方々にご参加いただきました。今回のセミナーが皆様の一助になれば幸いです。

一方、量子コンピュータはまだまだ発展途上で、利用しようにも敷居が高いのが現状です。GPUやFPGA等アクセラレータを、その登場間もない頃から使い倒してきた当社だからこそ提供できる付加価値があると考えています。量子コンピューティングに関する情報サイトも公開していますが、量子コンピュータの利用を検討している方は是非お気軽にお問い合わせください。

最後に、大関先生よりコメントをいただきましたので、掲載いたします。
「この度は急なお願いにもかかわらずFixstarsの皆さんにご協力いただき感謝します。東北大学では研究開発のみならず人材育成を中心に据えて、今後の5年間、10年間で起こることに向けた活動を始めました。量子コンピュータが当たり前になるときに、その潜在的能力だけではなく、どこにこの魅力的なツールを利用していくのか、それをディレクションする人材を育てたいと思いました。僕は学部時代に卒業論文で量子コンピュータの誤り訂正符号の研究を行いました。そこから博士にかけて、その理論を成熟させるのに費やしている間は、量子コンピュータは数十年先のことだという定説が流れていました。自分の研究もそういった生きている間には目の前にできない未来のことに関係しているのか、としばらく離れた立ち位置でいたところ、だんだんと雰囲気が変わっていき、誰もが使える時代に突入している。それならば、量子コンピュータネイティヴの学生たちの環境づくりに、これからの時間を費やそうと考えました。今後も同様の取り組みを発展させて続けていければと思います。日本発のアイデアが具現化されて発展したD-Waveマシンを東北大学では垣根なく利用することができます。研究開発だけでなく、新しい時代を実感するために、学生さんをはじめ多くの人に活用していただければ幸いです。またこれから先の時代、大学も企業も新しい技術に夢中になる時代です。この幸せな時代を、今後もFixstarsさんを始め、多くの協力者と共に駆け抜けていきたいと思います。」

このような機会をご提供いただき本当にありがとうございます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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TakagiHirofumi

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